実家の物件調査に必要な資料の集め方|法務局・役所・自宅で何を取るか

実家の家や土地を調べるとき、最初に迷いやすいのが「何の資料を、どこで取るか」です。

資料は法務局・役所・自宅の3か所に分かれ、名前も似ているうえ、名義だけ知りたい人と売却まで考える人とでは要る資料が違います。

確認したい事項ごとの資料と取得先に加え、誰でも取れる資料と相続人の証明が要る資料の区分、費用、自宅に無いときの代わりの方法までまとめました。読み終えると、手元の状況に合わせた「取る資料の一覧」が作れます。

実家の物件調査に必要な資料の全体像と取得先

実家の調査で集める資料は「法務局」「役所」「自宅」の3か所に分かれ、確認したい事項に合う分だけ集めれば済みます。

名義だけ知りたいなら法務局の1通で済み、建て替えや売却まで考えるなら役所の資料が加わります。

不動産会社に売却を相談すれば、こうした資料は会社側でも調べてくれます。先に自分でも持っておくと、説明を聞いたときに内容が頭に入りやすく、気になる点をその場で質問できます。

確認したい事項ごとに必要な資料と取得先の対応表

確認したい事項と資料・取得先の対応は次の表のとおりで、自分に関係する行だけ見れば十分です。

確認したい事項必要な資料取得先取れる人
名義・名義人の履歴・抵当権登記事項証明書(全部事項)法務局誰でも
土地の面積と境界地積測量図・公図・境界確認書/確定測量図法務局・自宅誰でも(境界確認書は自宅のみ)
建てられる土地か(用途地域・建ぺい率・容積率・市街化調整区域)都市計画情報自治体の都市計画課・Webマップ誰でも
道路(建築基準法上の道路種別・幅員・接道)指定道路図・道路台帳建築指導課・道路課誰でも
建物の履歴(建築確認・検査・増築)建築計画概要書・台帳記載事項証明書・建物図面・確認済証/検査済証建築指導課・法務局・自宅概要書は多くの自治体で誰でも。台帳記載事項証明は所有者・相続人に限る自治体あり
評価額と親名義の不動産の全体課税明細書・名寄帳・固定資産評価証明書・所有不動産記録証明書自宅・資産税課・法務局相続人の証明が要る(親が存命なら本人か委任状)
インフラと災害リスク上下水道台帳・ハザードマップ上下水道課・Web誰でも

名義だけ、境界まで、建て替えまで、と目的が広がるほど、下の行の資料が加わる並びです。

出典: 法務省「所有不動産記録証明制度について」/国土交通省「ハザードマップポータルサイト」

最初に取る資料は登記事項証明書と固定資産税の課税明細書

起点になる資料はこの2つで、理由は法務局の資料が「住所」では取れないからです。

法務局の資料は、土地なら「所在+地番」、建物なら「所在+家屋番号」で請求します。地番は登記のために土地へ付けた番号で、郵便が届く住所(住居表示)とは別の番号です。登記情報提供サービスの案内にも、住居表示ではなく地番または家屋番号で不動産を特定する必要があると書かれています。

地番と家屋番号は、固定資産税の納税通知書に付いてくる課税明細書に載っています。課税明細書は毎年4〜6月ごろに納税義務者へ届くので、親の家にあれば、名義・地番・家屋番号・地積・床面積・評価額が一度に分かります。登記されていない建物も、課税されていれば載ります。

課税明細書が見つからないときは、次の方法で地番を調べられます。

  • 登記情報提供サービスの「地番検索サービス」を使う(提供エリア内に限り、住居表示からおおよその地番が分かります)
  • 管轄の法務局に電話し、住所を伝えて地番を照会する(法務局には住居表示と地番を対照した地図があります)

地番が分かったら、土地と建物の登記事項証明書(全部事項)を取ってみてください。地積測量図があるか、抵当権が残っているか、建物が登記されているかが分かり、次に取る資料が決まります。

経験者の声:権利証を探すより先に登記事項証明書を取る

「権利証を探して家中を数日ひっくり返したが、先に法務局で登記事項証明書を取っていれば、名義と地番はその日に分かった」(父の相続で実家の名義を調べた方)

出典: 登記情報提供サービス「サービス概要・利用料金」/登記情報提供サービス「よくあるご質問 地番や家屋番号が分からないときは」

誰でも取れる資料と相続人の証明が要る資料の区分

資料は、取るのに何が要るかで3つに分かれます。

区分資料必要なもの
①誰でも取れる法務局の登記事項証明書・公図・地積測量図・建物図面、登記情報提供サービス、都市計画情報、指定道路図・道路台帳、建築計画概要書(多くの自治体)、上下水道台帳、ハザードマップ手数料のみ。戸籍も委任状も不要
②相続人の証明が要る名寄帳・固定資産評価証明書、所有不動産記録証明書、台帳記載事項証明書(所有者・相続人に限る自治体あり)被相続人の死亡と相続関係が分かる戸籍(法定相続情報一覧図の写しで代えられる窓口あり)+本人確認書類。写しで可かは自治体により異なる
③本人か委任状が要る親が存命中の名寄帳・評価証明書、宅内や私設の水道管の調査親本人の請求か、親からの委任状

不動産登記法119条は、登記事項証明書を「何人も」請求できると定めています(地図等の写しも120条で同じ扱いです)。

何人も、登記官に対し、手数料を納付して、登記記録に記録されている事項の全部又は一部を証明した書面(以下「登記事項証明書」という。)の交付を請求することができる。(不動産登記法119条1項)

つまり①は、親が存命でも、他の相続人に断らなくても取れます。相続の前でも調査を始められる、ということです。

①で分かるのは「指定した地番」の情報に限られ、②の名寄帳で「親名義の全部」が分かります。実家の地番しか請求していないと、私道の持分や祖父名義のままの畑は見落としやすいので、相続人になったら名寄帳も取っておくと漏れを防げます。

出典: e-Gov法令検索 不動産登記法 第119条/e-Gov法令検索 不動産登記法 第120条/法務省「所有不動産記録証明制度について」

資料ごとの取得費用と郵送・オンラインで済む範囲

費用は法務局の分が1通数百円、役所の分も数百円単位で、現地へ行くのは役所の建築指導課・道路課の1回に絞れます。

法務局の手数料は法務省「登記手数料について」(令和7年4月1日改定後の額)、登記情報提供サービスの料金は法務省の利用料金等一覧(令和8年4月1日からの額)、所有不動産記録証明書は法務省の制度ページの額です。役所の手数料は自治体ごとに違うので、例として自治体名を添えました。

資料窓口・郵送(書面請求)オンライン遠方からの可否
登記事項証明書(法務局)600円オンライン請求・郵送受取520円、窓口受取490円可。全国どの法務局でも取れる
地図等情報(公図・地積測量図・建物図面)500円郵送受取470円、窓口受取440円可
登記事項要約書・閲覧500円−窓口のみ
登記情報提供サービス(証明文・公印の付かないPDF)−全部事項330円、所有者事項140円、地図・図面360円。一時利用はクレジットカードで登録不要可。自宅で即時
所有不動産記録証明書(法務局)1,600円郵送受取1,500円、窓口受取1,470円可
名寄帳(自治体)横浜市・静岡市は300円の例−郵送請求が可能な自治体が多い
固定資産評価証明書(自治体)横浜市・静岡市は土地1筆・家屋1棟300円、都税事務所は1件目400円・2件目以降100円、京都市は1通350円の例−郵送請求が可能
建築計画概要書の写し(自治体)静岡市・呉市は1枚10円の例−窓口が基本。郵送対応の自治体あり(呉市の例)
台帳記載事項証明書(自治体)静岡市・呉市・名古屋市は300円の例−窓口が基本
都市計画情報・下水道台帳・ハザードマップ証明書は有料(川崎市の都市計画証明は1件300円の例)Webの閲覧は無料可
道路台帳横浜市は写しの証明が1枚300円の例Web公開の自治体あり窓口が基本
上水道の管路図鹿児島市は閲覧無料・カラーの写し1枚100円の例−窓口が基本

※自治体の手数料はいずれも例で、自治体により異なります。行く前にその自治体のページか電話で確かめておきましょう。

以前の額を覚えている方のために、変わった点も添えます。法務局の手数料は令和7年4月1日に改定され、登記事項証明書は書面請求の600円が据え置きで、オンライン請求が郵送受取500円→520円、窓口受取480円→490円になりました。地図等情報は書面請求450円→500円、オンライン請求の郵送受取450円→470円、窓口受取430円→440円、登記事項要約書・閲覧は450円→500円です。登記情報提供サービスの全部事項330円は令和8年4月1日からの料金で、令和4年3月の時点では332円でした(国に納める320円は同じで、運営する協会の手数料が下がっています)。

遠方から進めるなら、次のように分けられます。

  • 法務局の分は、全国どの法務局でも他の管轄の不動産の証明書が取れます。オンライン請求か登記情報提供サービスを使えば、現地へ行かずに済みます。
  • 名寄帳・評価証明書は郵送で請求できます。申請書・定額小為替・返信用封筒・戸籍の写し・本人確認書類の写しを送ります。
  • 都市計画情報・下水道台帳・ハザードマップはWebで見られます。
  • 建築計画概要書と道路台帳は窓口が基本です(郵送に対応する自治体もあります)。

費用の目安を、土地2筆・建物1棟という仮定で計算すると次のとおりです。法務局の窓口で証明書を取る場合は、登記事項証明書600円×3通+公図500円=2,300円です。登記情報提供サービスで済ませる場合は、全部事項330円×3件+地図360円=1,350円です。筆の数を自分の課税明細書の土地の行数に置き換えると、手元の額が出ます。役所の分は、名寄帳300円+評価証明書300円×筆数のように数百円単位です。

出典: 法務省「登記手数料について」/法務省「令和7年4月1日から各種証明書等の手数料が変わります」/法務省「登記情報提供サービスの利用料金等一覧」/法務省「登記情報提供業務 評価実施結果報告書(令和4年3月)」/法務省「所有不動産記録証明制度について」出典: 横浜市「固定資産に関する証明」/静岡市「固定資産に関する証明書(評価証明書・名寄帳など)」/東京都主税局「固定資産(土地・家屋)証明の手数料」/京都市「固定資産評価証明等の郵便請求(個人用)」/静岡市「建築計画概要書の閲覧・写しの交付、建築台帳等記載事項証明書の交付に関するご案内」/呉市建築指導課「建築計画概要書及び台帳記載事項証明書等の閲覧・交付の方法について」/名古屋市「台帳記載事項証明」/川崎市「用途地域等の証明」/横浜市「道路台帳図・境界調査図の写し(証明)」/鹿児島市水道局「上下水道管路情報の閲覧」

法務局で集める資料の種類と取得方法

法務局で取る資料は4つで、登記事項証明書で「名義・履歴・抵当権」、公図と地積測量図で「土地の形と境界」、建物図面で「建物の形と床面積」が分かります。

いずれも名義人でなくても請求でき、必要なのは地番と家屋番号です。

法務局の資料は地番と家屋番号があれば誰でも請求できる

法務局の資料は、相続人の証明・委任状・名義人の同意がなくても請求できます。

不動産登記法119条が「何人も」請求できると定めているので、親が存命でも、他の相続人に断らなくても取れます。

請求に使うのは住所ではなく地番と家屋番号です。地番は登記のために土地に付けた番号、住居表示は建物に付けた番号で、互いに別の番号です。住所で請求しても探してもらえません。地番は、課税明細書を見る、登記情報提供サービスの「地番検索サービス」を使う、管轄の法務局に電話で照会する、の順で調べられます。

見落としやすいのが、土地が複数の筆に分かれている場合です。宅地と私道の持分、宅地と畑のように、1つの家でも2筆、3筆ある例もあります。課税明細書の土地の行数を見て、筆ごとに請求しておきましょう。

実は、請求書で「共同担保目録付き」を指定すると、同じ抵当権が付いた別の土地も載ります。知らなかった土地が見つかることがあるので、指定しておく価値があります。

管轄を気にする必要はなく、不動産登記法119条5項により、他の管轄の不動産の証明書も全国どの法務局で取れます。

経験者の声:課税明細書を持って行けば1回で済む

「住所で請求したら『地番が違う』と言われ、課税明細書を持って出直した」(母の実家の土地を調べに法務局へ行った方)

出典: e-Gov法令検索 不動産登記法 第119条/登記情報提供サービス「サービス概要・利用料金」/登記情報提供サービス「よくあるご質問 地番や家屋番号が分からないときは」

窓口・オンライン請求・登記情報提供サービスの費用と使い分け

取り方は3つあり、もらえるものと費用が違います。

方法もらえるもの費用所要時間こんなときに
①法務局の窓口・郵送(書面請求)証明書(公印あり)証明書600円、地図等500円即日〜数日近くに法務局があり、証明書が要るとき
②登記・供託オンライン申請システム(かんたん証明書請求)証明書(公印あり)証明書520円(郵送受取)・490円(窓口受取)、地図等470円・440円数日証明書が要り、安く取りたいとき
③登記情報提供サービス証明文・公印の付かないPDF全部事項330円、所有者事項140円、地図・図面360円即時調査の段階。内容を知りたいだけのとき

①②は令和7年4月1日改定後の額、③は令和8年4月1日からの額です。③の利用時間は、登記記録が平日8時30分〜23時、土日祝8時30分〜18時で、地図・図面は平日8時30分〜21時のみです。一時利用ならID登録なしで、クレジットカードの即時決済で使えます。

調査の段階は③で済みます。証明書が要るのは、相続登記・売買契約・金融機関への提出の段階です。証明書が要るなら、②は①より1通あたり80〜110円安くなります。

費用は、証明書が1通ごと、図面が土地1筆・建物1個ごとにかかります。筆が多いときは、まとめて請求すると手間が減ります。

経験者の声:遠方の実家でも夜に自宅から取れる

「登記情報提供サービスで夜に自宅から土地3筆と建物のPDFを取り、法務局へ行かずに済んだ」(遠方にある父の実家を調べた方)

まず③で中身を見てから、必要なものだけ②で証明書にする順にすると、無駄な出費を抑えられます。

出典: 法務省「登記手数料について」/法務省「登記情報提供サービスの利用料金等一覧」/登記情報提供サービス「サービス概要・利用料金」/登記情報提供サービス「トップページ(利用時間・一時利用)」

登記事項証明書で分かる名義・面積・抵当権と、全部事項を取る理由

登記事項証明書は表題部・甲区・乙区の3つの欄に分かれ、請求するときに「全部事項」を選ぶと過去の経緯まで分かります。

欄土地で分かること建物で分かること
表題部所在・地番・地目(宅地・畑など)・地積(面積)所在・家屋番号・種類(居宅など)・構造・床面積
甲区登記上の名義人と、所有権が移った履歴同じ
乙区抵当権・根抵当権などの設定と抹消の履歴同じ

甲区を見ると、親名義か、祖父名義のままか、共有名義か、持分はいくつか、が分かります。乙区を見ると、親の借入の有無と、完済後に抵当権の抹消登記をしたかが分かります。

登記事項要約書(500円)や「現在事項」の証明書に載るのは、今の情報に絞られています。親がいつ誰から買ったか、昔どこから借りていたか、完済しているのに抵当権の抹消が残っていないか、が分かるのは全部事項に限られます。抹消が残っていると、売却のときに抹消登記が必要になります。

建物の証明書を請求して「該当なし」と言われたら、建物が登記されていない可能性があります。土地は登記されていても、古い建物は未登記という家もあります。登記の有無は、役所の名寄帳か自宅の課税明細書で確かめられます。

もう1つの注意は、登記上の地積・床面積と実際の広さが違うことがある点です。登記の地積は古い測量に基づくことがあり、現況とずれていても登記はそのままです。

経験者の声:完済していても抹消登記が残っていた

「全部事項に30年前の抵当権が残っていた。完済はしていたが抹消登記をしておらず、金融機関に書類を出し直してもらった」(実家の売却前に登記を確かめた方)

売却の直前に気づくと手続きが重なるので、調査の段階で乙区まで見ておくと落ち着いて対応できます。

出典: e-Gov法令検索 不動産登記法 第119条/法務省「登記手数料について」

公図と地積測量図で分かる境界の情報と、作成年代による信用度の差

公図と地積測量図は、種別と作成年代で信用度が大きく違います。

公図には2種類あります。不動産登記法14条1項の「地図」と、同条4項の「地図に準ずる図面」です。証明書の欄外に、どちらの種別かと精度の区分が書かれています。

「地図に準ずる図面」の多くは、明治期に作られた旧土地台帳の附属図面が元になっています。信用できるのは隣接地との位置関係と、筆界が直線か曲線かくらいで、距離・面積・方位は参考程度です。裁判でも、公図は土地の位置や形状の概略を示す資料として扱われてきました。実家の公図がこの種別なら、「形はこうだが寸法は別」と読めます。

地積測量図は、1筆の土地の測量結果を示した図面です。主に分筆の登記のときに提出される図面で、昭和35年の法改正以降に分筆や地積更正などの登記があった土地に限って備え付けられています。古い土地では「該当なし」が普通で、その場合は手数料の収入印紙が返されます。

あったとしても、作成年代で信用度が違います。

作成年代境界の情報信用度
昭和35年〜昭和52年ごろ境界標の記載の定めが無く、現地で測っていない図面もあるとされる低い。現地で境界を復元できないことがある
昭和52年〜平成17年ごろ境界標の記載が規定され、平成5年からは位置関係の記載が義務化されたとされる中程度
平成17年3月以降不動産登記規則77条により、筆界点の座標値と境界標の表示が記録される高い。測量すれば境界標の位置を出せる

図面を見るときは、作成年月日と作成者(土地家屋調査士名)を見ておきましょう。見るところは、隣接地番、境界標の種類(コンクリート杭・金属鋲・プレート)、「筆界未確定」の記載です。図面にある境界標が現地に無いときは、動かされたか埋まったかで、放置すると隣地との争いになります。

公図・地積測量図があっても、隣地との境界が確定しているわけではありません。確定の証拠は、自宅にある境界確認書・確定測量図です。無い、または古い場合は、土地家屋調査士に相談すると次の手が決まります。

経験者の声:「該当なし」も重要な調査結果

「地積測量図を請求したら該当なしで、隣地との境界は何も決まっていないと分かり、売却前に測量が要ると知った」(父から相続した古い宅地を売却した方)

出典: e-Gov法令検索 不動産登記法 第14条/e-Gov法令検索 不動産登記規則 第77条/盛岡地方法務局「地積測量図・建物図面・各階平面図」

建物図面・各階平面図と閉鎖登記簿で分かる建物の履歴

建物図面と各階平面図は現況と比べる使い方で、閉鎖登記簿は取り壊した旧建物や古い所有権の移転を調べるときに使えます。

建物図面は敷地の中での建物の位置を、各階平面図は各階の形と床面積を示します。昭和35年の法改正で法定の添付書類になったとされるため、それより前に登記された建物には無いことがあります。新築の表題登記や増築の変更登記を経た建物には、備え付けられている可能性が高いです。

図面に無い部屋がある、床面積が違う、となれば、増築が登記されていない可能性があります。登記の床面積と現況が違えば、売却のときに表示変更登記が必要になります。

閉鎖登記簿は、コンピュータ化前の紙の登記簿や、合筆・建物の取り壊し(滅失)で閉じられた登記です。取り壊した旧建物の記録や古い所有権の移転を調べるときに、法務局で請求します。登記情報提供サービスで見られる閉鎖登記簿は、管轄の登記所がコンピュータ処理に移った後に閉鎖された分に限られ、それより前の閉鎖登記簿謄本は管轄の登記所に請求します。

出典: 盛岡地方法務局「地積測量図・建物図面・各階平面図」/登記情報提供サービス「サービス概要・利用料金」

自治体で集める資料の種類と窓口

役所で分かるのは「親名義の不動産の全体と評価額」「建てられる土地か」「道路」「建築確認の記録」の4つです。

窓口は課ごとに分かれているので、行く前に回る順番と持ち物を決めておくと1日で済ませられます。

課ごとに分かれる自治体の窓口を一度で回る順番と持ち物

課の名前は自治体で違いますが、役割はおおむね次の表のとおりです。

課の名前(例)調べる内容取れる資料
資産税課(東京23区は都税事務所)親名義の不動産の一覧と評価額名寄帳・固定資産評価証明書
都市計画課・まちづくり課用途地域・区域区分・建ぺい率・容積率・防火地域・都市計画道路都市計画情報図・都市計画証明
建築指導課・建築審査課建築基準法上の道路種別、建築確認の記録指定道路図・建築計画概要書・台帳記載事項証明書
道路課・道路管理課道路の認定幅員・官民境界の確定状況道路台帳・認定路線網図
上下水道課・水道局引込管の有無と口径、下水道の有無上水道の管路図・下水道台帳

持ち物は、登記事項証明書の写し・公図・住宅地図・現地の写真・本人確認書類です。名寄帳と評価証明書を取るなら、戸籍類も要ります。

不動産会社の調査担当が守っている鉄則が2つあります。1つは、資料を必ず紙(または印刷)で受け取ること。もう1つは、口頭で説明を受けたら担当課・氏名・日付を控えることで、後で「言った・言わない」になるのを防げます。

証明書を即日発行しない自治体や予約制の自治体もあるので、行く前に電話で必要書類と手数料を確かめておきましょう。

回る順番の例は、資産税課(名寄帳で筆と棟を確定)→都市計画課→建築指導課→道路課→上下水道課です。前面道路が国道・県道なら、道路課の代わりに国道事務所・県の建設事務所が窓口になります。

経験者の声:順番と持ち物を決めておけば1日で済む

「課ごとに必要書類が違い、役所に3回通った。順番と持ち物を先に決めておけば1日で済んだ」(実家のある市役所で資料を集めた方)

出典: 横浜市「固定資産に関する証明」/呉市建築指導課「建築計画概要書及び台帳記載事項証明書等の閲覧・交付の方法について」

名寄帳と固定資産税の課税明細書で分かる親名義の不動産と未登記建物

名寄帳を取ると、その自治体にある親名義の土地・家屋が、未登記の建物まで全部分かります。

名寄帳は、市区町村が固定資産課税台帳を名義人ごとにまとめた一覧です。登記簿に載らない未登記の建物も、課税されていれば家屋番号が空欄のまま載ります。共有名義の物件は共有者の組み合わせごとに別の名寄帳になる自治体があるので、窓口で「共有名義の分も」と伝えておくと漏れを防げます。

課税明細書(納税通知書に添付)は名寄帳とほぼ同じ情報で、親の家にあれば役所へ行かずに済みます。ただし、課税標準額が免税点(土地30万円・家屋20万円。令和9年度分からは家屋30万円)に満たない不動産は税がかからず、納税通知書に載らないことがあります。山林や小さな畑はこれに当たりやすいので、名寄帳で確かめる価値があります。

名寄帳に載るのは、その自治体の中にある分に限られます。別の市町村にある土地は、その役所で別に取ります。

全国横断で探す制度として、令和8年2月2日に法務局の所有不動産記録証明制度が始まりました。相続人が請求でき、被相続人の名義で登記された不動産の一覧が証明書で出ます。手数料は検索条件1件・1通につき、書面請求1,600円、オンライン請求の郵送受取1,500円・窓口受取1,470円です。

ただし次の限界があり、名寄帳と併用する形になります。

  • 検索条件の氏名・住所が登記記録と一致しない不動産は抽出の対象外(旧住所も検索条件に入れると、条件の件数分の手数料がかかる)
  • 所有権の登記が無い不動産(表題登記しかないもの)と、コンピュータ化されていない登記簿は対象外
  • 該当なしでも手数料はかかる(返金なし)
経験者の声:固定資産税の通知に載らない土地が名寄帳で出てきた

「名寄帳を取ったら、実家の敷地とは別に私道の持分と祖父名義の畑が出てきた。固定資産税の通知には載っていなかった」(父の相続で市役所の資産税課へ行った方)

出典: 総務省「固定資産税の概要」/法務省「所有不動産記録証明制度について」/新潟地方法務局「所有不動産記録証明制度 令和8年2月2日スタート」

固定資産評価証明書と名寄帳を相続人が取るときの必要書類と手数料

相続人が名寄帳・評価証明書を取るには、相続関係が分かる戸籍と本人確認書類が要り、手数料は1件300円前後の自治体が多いです。

必要書類は、被相続人の死亡と相続関係が分かる戸籍(除籍謄本・相続人の戸籍)、本人確認書類、代理人なら委任状です。横浜市のように、戸籍の代わりに法定相続情報一覧図の写しでよい自治体もあります。写しで可かは自治体で違います。

手数料の例を挙げると、名寄帳は横浜市・静岡市とも1件300円、評価証明書は横浜市・静岡市が土地1筆・家屋1棟300円で、静岡市は同名義の追加分が1筆・1棟につき100円の加算です。都税事務所(東京23区)は1件目400円・2件目以降100円で、平成30年5月1日の改定で2件目以降が400円から100円に下がりました。京都市は1通350円です。

郵送請求は、申請書・定額小為替(お釣りが出ないように。不足すると送り返されます)・返信用封筒・戸籍と本人確認書類の写しを送ります。届くまで1週間程度かかります。

年度の注意も1つあります。評価証明書は年度ごとに作られるので、相続登記の登録免許税や相続税の計算に使うなら、申請する年度の証明書が要ります。調査の段階なら、課税明細書か名寄帳で済みます。

親が存命中は、区分の表(③)のとおり、親本人の請求か委任状が要ります。

出典: 横浜市「固定資産に関する証明」/静岡市「固定資産に関する証明書(評価証明書・名寄帳など)」/東京都主税局「固定資産(土地・家屋)証明の手数料」/京都市「固定資産評価証明等の郵便請求(個人用)」

都市計画課で確認する用途地域・建ぺい率・容積率と市街化調整区域

都市計画課で分かるのは、その土地に何をどこまで建てられるかで、売却価格に一番影響するのが市街化調整区域です。

確かめる項目は、区域区分(市街化区域・市街化調整区域・非線引き)、用途地域、建ぺい率・容積率、防火・準防火地域、高度地区・日影規制、都市計画道路の予定、地区計画です。

多くの自治体がWebの都市計画情報マップで無料公開しており、調査の段階はその閲覧で済みます。窓口で出す都市計画証明は有料で、川崎市は1件300円の例です。

市街化調整区域は原則として新たに建物を建てられない区域です。既存の家の建て替えも、許可の根拠(線引き前からの宅地か、既存の建物の建て替えに当たるか、など)を都市計画課・開発指導課で確かめる必要があります。建てられるかで、売却価格と買い手の範囲が大きく変わります。

都市計画道路の予定地にかかっていれば、将来の収用や建築の制限があります。マップで線が引かれていたら、都市計画課で計画の状況を聞いてみてください。

出典: 川崎市「用途地域等の証明」

建築指導課と道路課で確認する道路の種別・幅員と再建築の可否

前面道路が建築基準法上のどの道路かで、建て替えの可否と売却価格が決まります。

建築指導課では、前面道路が建築基準法42条のどの道路かを確かめます。1項1号〜5号、2項道路、43条の許可(但し書き)が要る道、道路に当たらない道、の区分です。指定道路図をWebで公開している自治体もあります。「未判定」と言われたら、判定に時間がかかります。

再建築の条件は、建築基準法43条のとおり、敷地が建築基準法上の道路に2m以上接していること(接道義務)です。

建築物の敷地は、道路(略)に二メートル以上接しなければならない。(建築基準法43条1項)

前面道路が幅4m未満の2項道路なら、道路の中心線から2mの線が道路の境界とみなされます。建て替えのときにその線までセットバックが要り、その分だけ使える敷地が減ります。私道なら、持分と、通行・掘削の承諾(自宅で探す承諾書)も要ります。

道路課で確かめるのは、道路台帳(認定幅員・現況幅員)、認定路線網図、官民境界の確定状況です。官民境界が未確定なら、売却時の確定測量で役所の立会いが要り、時間がかかります。横浜市のように、道路台帳図の写しの証明を誰でも請求できる自治体もあります(1枚300円の例)。国道・県道は、国道事務所・県の建設事務所が窓口です。

経験者の声:2項道路と分かり売却価格の見込みが変わった

「建築指導課で前面道路が2項道路と分かり、建て替えると敷地が50cmほど下がると言われ、売却価格の見込みが変わった」(実家の売却を考えて役所を回った方)

道路の区分は、売却でも建て替えでも最初に影響する情報です。

出典: e-Gov法令検索 建築基準法 第42条/e-Gov法令検索 建築基準法 第43条/横浜市「道路台帳図・境界調査図の写し(証明)」

建築計画概要書と台帳記載事項証明書で分かる建築確認の記録

確認済証・検査済証は再発行されません。

代わりになるのが、役所の建築指導課にある2つの資料です。

資料分かること取れる人手数料の例
建築計画概要書建築主・敷地と建物の概要・付近見取図・配置図建築基準法93条の2により閲覧できる。多くの自治体で誰でも写しは静岡市・呉市で1枚10円
台帳記載事項証明書確認済証・検査済証の番号と年月日、延床面積建築主・現在の所有者・相続人に限る自治体あり(名古屋市は建築主と現在の所有者)静岡市・呉市・名古屋市で300円

保存の範囲は自治体で違います。静岡市は昭和46年1月以降の概要書を保管、呉市は昭和45年度以前の物件は概要書が無く台帳記載事項証明書のみ、名古屋市の台帳証明は平成4年4月1日以降の確認分が対象、という例です。証明書の内容は建築確認の当時の事項で、今の建物の状態とは別です。

検査済証の記録が無くても売却はできますが、買主の住宅ローンや、増改築・用途変更で不利になることがあります。再建築や増改築ができるかは、建築士に既存建物の調査(法適合状況調査)を頼むと判断してもらえます。

経験者の声:手元に無いことと記録が無いことは別

「検査済証が無く売れないと心配したが、概要書の写しが役所で取れ、建築確認の記録はあると分かった」(築40年の実家を売却した方)

出典: e-Gov法令検索 建築基準法 第93条の2/静岡市「建築計画概要書の閲覧・写しの交付、建築台帳等記載事項証明書の交付に関するご案内」/呉市建築指導課「建築計画概要書及び台帳記載事項証明書等の閲覧・交付の方法について」/名古屋市「台帳記載事項証明」

売却や建て替えを考えるなら合わせて取る上下水道の台帳とハザードマップ

上下水道とハザードマップは、売却時の重要事項説明で必ず出てくる項目です。

上水道は、引込管の有無と口径を確かめます。口径が小さい(13mmなど)と、建て替えのときに増径が必要になることがあります。配水管の管路図は窓口で閲覧でき、鹿児島市のように閲覧は無料、カラーの写しは1枚100円という例があります。宅内の給水管や私設の管は、所有者の委任状が要ることがあります。

下水道は、本管の有無と口径、合流式か分流式かを確かめます。下水道台帳はWebで公開している自治体が多いです。未整備なら、浄化槽か汲み取りです。

ハザードマップ(洪水・内水・土砂災害・高潮・津波)は、国土交通省のハザードマップポータルサイトと自治体のサイトで無料で見られます。そのほか、埋蔵文化財包蔵地は教育委員会の文化財課、土地区画整理の換地は担当課、農地は農業委員会の台帳で確かめられます。

先に自分で見ておくと、重要事項説明を聞くときに内容が頭に入りやすく、気になる点をその場で質問できます。

出典: 鹿児島市水道局「上下水道管路情報の閲覧」/国土交通省「ハザードマップポータルサイト」

自宅で探す資料と見つからないときの代替手段

自宅で探すのは役所や法務局で再発行されない資料で、「あるか無いか」を確かめること自体が調査の一部です。

無ければ代わりの方法で埋められます。何日も探し続けるより、無いと分かった時点で次へ進むほうが早く終わります。

自宅で探す資料の優先順位と探す場所

探す順番は次のとおりで、上にあるほど調査で役立つ度合いが大きい資料です。

  1. 固定資産税の納税通知書・課税明細書(地番・家屋番号・評価額が一度に分かる)
  2. 権利証(登記済証・登記識別情報通知。購入時の司法書士名も分かる)
  3. 購入時の売買契約書・重要事項説明書・領収書
  4. 建築図面・確認済証・検査済証・工事請負契約書
  5. 測量図・境界確認書
  6. 私道の通行掘削承諾書・越境の覚書
  7. リフォームの契約書と図面・火災保険証券・シロアリや耐震の点検記録・浄化槽の法定検査記録・プロパンガスの供給契約書

探す場所は、仏壇や神棚の引き出し、金庫、貸金庫(相続後は相続人全員の同意が要ることがあります)、書斎の机、押し入れの書類ケースです。不動産会社・ハウスメーカー・司法書士の名前が入った封筒やファイルがあれば、その中にまとまっていることが多いです。

親が存命なら、本人に保管場所を聞くのが最速です。聞けないなら、通帳の履歴が手がかりになります。司法書士・測量事務所・ハウスメーカー・工務店への振込があれば、いつ何を頼んだかが分かり、その会社に控えが残っていることがあります。

遠方で探せないなら、法務局と役所で代替できる範囲を先に押さえ、自宅にしか無い資料(契約書・承諾書・覚書)に絞って探すと効率が上がります。

権利証は名義の確認には不要で、紛失しても登記手続きは進む

権利証は名義を調べるためには要らず、紛失しても売却時には代わりの方法があります。

権利証とは、平成17年より前の登記で発行された登記済証と、それ以後の登記識別情報通知のことです。名義は登記事項証明書で分かります。権利証が要るのは、売却などで名義を動かすときで、相続登記では原則として不要です(遺贈を除く)。

紛失しても再発行の制度はなく、売却のときは不動産登記法23条に定める次の3つの方法で代替します。

方法内容費用の目安
司法書士の本人確認情報司法書士が本人と面談して確認情報を作り、法務局に出す司法書士の報酬がかかる。数万円から十数万円が目安とされ、事務所により異なる
法務局の事前通知法務局が登記義務者の住所へ通知を送り、返送で本人確認をする無料。ただし返送が要るので、売買の決済日には使いにくい
公証人の認証公証役場で申請書類に認証を受ける公証人手数料令で定める手数料がかかる

見つからなければ、こうした代わりの方法で手続きを進められます。探すのに何日もかけるより早く済みます。

注意点が1つあります。第三者に見られた可能性があれば、不動産登記規則65条により、登記名義人やその相続人は登記識別情報の失効の申出ができます。

見つかる場所は、だいたい仏壇・金庫・書類ケースのどれかです。

出典: e-Gov法令検索 不動産登記法 第23条/e-Gov法令検索 不動産登記規則 第65条

建築図面・確認済証・検査済証で分かる現況との差と、無いときの代替先

建築図面は現況との差を見るために使い、無ければ役所と施工会社の2か所で代替できます。

設計図・建築図面があれば、現況と比べて、増築が登記されていないか、間取りが変わっていないかが分かります。登記の床面積と図面・現況が違えば、売却時に表示変更登記が要ります。

確認済証・検査済証の代替先は2つです。

  • 役所の建築指導課にある建築計画概要書・台帳記載事項証明書
  • 施工したハウスメーカー・工務店に残る設計図・確認申請の副本・検査済証の控え(保存期間は会社による)

施工会社の名前は、図面・契約書・保証書・通帳の振込先から分かります。会社がまだあれば、問い合わせると控えが出てくることがあります。

検査済証が無いままでも売却はできますが、買主のローンや増改築で不利になることがあります。

経験者の声:作った会社に残っていることがある

「ハウスメーカーに問い合わせたら、30年前の設計図と検査済証の写しが残っていた」(実家の建て替えを検討した方)

出典: e-Gov法令検索 建築基準法 第93条の2/静岡市「建築計画概要書の閲覧・写しの交付、建築台帳等記載事項証明書の交付に関するご案内」

境界確認書・確定測量図と私道・越境の承諾書が無いときに起きる支障

境界確認書・私道の承諾書・越境の覚書は自宅にしか無く、無ければ売却時に測量や書面の取り直しが要ります。

境界確認書・確定測量図は、隣地の所有者と役所の立会いで境界が決着した証拠です。あれば、売却時の測量が不要になることがあります。無ければ、売却時に確定測量(隣地の立会い)が要ります。親が以前に測量していれば、図面に土地家屋調査士の事務所名があり、そこに控えが残っていることが多いです。

私道の通行掘削承諾書は、前面道路が私道で持分が無い、または持分があっても他の共有者がいる場合に要ります。通行と、上下水道管を掘って通す工事の承諾を書面にした書類で、売却と建て替えの両方で求められます。親が口頭で了解を得ていただけなら書面が無く、相続後に取り直そうとしても、相手も代替わりしていて難しくなります。

越境の覚書は、隣家の塀・屋根・樹木が境界を越えている、または自宅側が越えている場合の取り決めです。売却時に買主へ引き継ぐ必要があり、無ければ隣地の所有者と新たに交わします。

相談先は、境界なら土地家屋調査士、承諾書・覚書の様式なら売却時の不動産会社・司法書士です。

経験者の声:口約束の私道通行は相続後に半年かかった

「母が『隣とは話がついている』と言っていた私道の通行は承諾書が無く、相続後に隣地の相続人と書面を交わすのに半年かかった」(私道に面した実家を相続した方)

親が存命のうちに書面の有無を確かめておくと、この半年を省けます。

購入時の売買契約書・重要事項説明書で分かる取得費と法規制、無いときの手がかり

購入時の契約書と重要事項説明書は、売却時の税金と役所調査の答え合わせの両方に使えます。

重要事項説明書には、購入時に説明された道路の種別・私道の持分・用途地域・上下水道・ハザードなどがまとまっています。役所で調べた内容の答え合わせに使えます。

売買契約書・領収書は、購入価格が売却時の取得費になるので重要です。国税庁の案内では、取得費が分からない場合の扱いが次のように示されています。

売った金額の5パーセント相当額を取得費とすることができます。(国税庁タックスアンサーNo.3258)

言い換えると、契約書が見つからないと取得費を売却額の5%で計算する扱いになり、税負担が大きくなります。

無いときの手がかりは次のとおりです。

  • 登記事項証明書の乙区(購入時の抵当権の債権額=当時の借入額)
  • 所有権移転登記の申請書に書かれた課税価格
  • 住宅ローンの返済予定表や残高の通知
  • 建物なら、国税庁の「建物の標準的な建築価額表」
  • 土地なら、日本不動産研究所の市街地価格指数による推計

契約書が無くても、こうした資料で実際の額を合理的に示せれば、概算より有利になる余地があります。認められるかの判断は、税理士・税務署に相談してみてください。

経験者の声:登記簿の抵当権の額から購入価格を推計できた

「契約書が見つからず取得費が5%になるところだったが、登記簿の抵当権の額と当時のローン残高の通知書から購入価格を推計できた。可否は税理士に確認した」(父から相続した実家を売却した方)

出典: 国税庁 タックスアンサー No.3258「取得費が分からないとき」/国税庁「建物の標準的な建築価額表」(譲渡所得の申告のしかた 参考資料)

まとめ:実家の資料は課税明細書と登記事項証明書の2枚から集め始める

実家の調査で最初に押さえる資料は、自宅の課税明細書と法務局の登記事項証明書(全部事項)の2枚です。課税明細書で地番・家屋番号と筆の数が分かり、登記事項証明書で名義・抵当権・登記の有無が分かるので、役所で何を取るかがこの2枚で決まります。

次の一歩は、相続人になった時点で役所の資産税課で名寄帳を取ることです。ここを飛ばすと、私道の持分や祖父名義のままの畑のように課税明細書に載らない不動産を見落とし、相続登記や売却の途中で見つかって手続きのやり直しになります。

境界確認書・私道の承諾書・越境の覚書は自宅にしか無いので、親が存命のうちに有無と保管場所を確かめておきましょう。実家と相続の地図帳「つぐーる」では、実家の家や土地を調べる資料の集め方も含めて、相続や実家について悩むあなたに経験に基づいた情報を提供しています。