実家の売却相場の調べ方|公開情報で査定額を検算する手順

不動産会社から出てきた実家の査定額が高いのか安いのか、判断する材料が手元にないという相談をよく聞きます。自分で買った家ではないので購入時の価格感がなく、遠方で土地勘も薄いからです。

それでも、売れそうな金額の目安は自分で調べられます。不動産会社が査定の根拠にする取引事例と同じ系統の情報を、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」などで誰でも無料・登録不要で見られるからです。

公開されている取引情報と実家の条件から相場の目安を幅で持ち、査定額と突き合わせるまでの手順を、画面の項目名に沿って説明します。

実家の売却相場は自分で調べられる

不動産会社が査定に使う材料と同じ系統の情報を、売主の側も無料で見られます。

最初に、「相場」という言葉が何を指すのか、なぜ一般の人がその情報を見られるのか、どの順番で調べるのかの3点を押さえておくと、あとの手順で迷わずに済みます。

  • 相場・売り出し価格・査定額の違い
  • 不動産会社と同じ公開情報を無料で見られる根拠
  • 実家の相場を自分で調べる順番

相場・売り出し価格・査定額の違い

「相場」と呼ぶのは、似た条件の家が実際に売れた成約価格の幅です。

1つの金額ではなく、たとえば「この町名の築30年前後の戸建てなら2,800万〜3,400万円」という幅で捉えます。

ネットの物件サイトに出ている金額は「売り出し価格」で、売主の希望額です。値引きを見込んだ高めの金額が混じるので、相場より上に寄ります。

不動産会社の「査定額」は「この金額で売り出しませんか」という会社からの提案で、会社ごとに揺れます。

名称誰が決めるかどこで見えるか相場との関係
相場(成約価格の幅)実際の売主と買主不動産情報ライブラリ、レインズ・マーケット・インフォメーション相場そのもの。過去の成約なので四半期ほど遅れる
売り出し価格売主(会社の助言つき)物件ポータルサイト、チラシ値引き前提の高値が混じり、相場の上限の目安にしかならない
査定額不動産会社査定書会社の提案。相場の幅の中に入ることも外れることもある

売値そのものは、買主が現れて初めて決まります。手元に持ちたいのは、出てきた査定額が妥当かを判断するための目安の幅です。

不動産会社と同じ公開情報を無料で見られる根拠

不動産会社が査定額の根拠にする取引事例と同じ系統の情報が、国の運営するサイトで公開されています。

不動産会社が査定額を出すとき、根拠を示すことは法律で義務づけられています。宅地建物取引業法34条の2第2項は、次のように定めています。

価額又は評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならない

国土交通省の「解釈・運用の考え方」では、その根拠は不動産流通推進センターの価格査定マニュアルか、同種の取引事例など合理的な説明がつくものと求められています。

取引事例の出所は、不動産会社だけが見られる業者間ネットワーク「レインズ」の成約情報です。実は、同じ系統の情報が一般にも公開されています。

国土交通省が2024年4月から運用する「不動産情報ライブラリ」には、レインズ由来の「成約価格情報」と、取引当事者へのアンケートによる「不動産取引価格情報」が載っています。指定流通機構が運営する「レインズ・マーケット・インフォメーション」でも、戸建て・マンションの成約を幅で見られます。どちらも無料・登録不要です。

つまり、会社の査定額を自分で「検算」できるということです。地価公示・路線価・固定資産税評価額といった土地の公的な評価は、成約そのものとは別に「土地の水準」を示す補助として使います。

出典: e-Gov法令検索 宅地建物取引業法 第34条の2/国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」(令和8年4月1日施行版・PDF)/国土交通省 報道発表「不動産情報ライブラリ」の運用を開始します

実家の相場を自分で調べる順番

成約事例を集め、土地の水準で裏づけ、実家の条件に合わせて補正してから査定額と比べる、という順番で進めます。

  1. 不動産情報ライブラリで、実家周辺の成約価格・取引価格の事例を集める
  2. 手元の固定資産税評価額・路線価と地価公示から、土地の水準を出す
  3. 集めた事例を実家の条件に合わせて補正し、下限・中央・上限の幅で持つ
  4. その幅と不動産会社の査定額を突き合わせ、ズレの理由を確かめる
  5. 公開情報では分からない点を知り、幅を広めに持つ

使う情報はすべて無料・登録不要です。査定額を否定するためではなく、判断の材料を持つために順番に進めてみてください。

経験者の声:公開情報の事例一覧は兄弟・姉妹への説明にも使えた

「3社の査定が数百万円違い、どれを信じるか決める材料が欲しかった。兄弟に説明するとき、査定書より公開情報の事例一覧のほうが納得してもらえた」(父の相続で実家の査定を3社に頼んだ方)

不動産情報ライブラリで実家周辺の成約価格を調べる手順

検索条件は地域・価格情報区分・種類・時期の4つで、結果は一覧表示とCSVの両方で受け取れます。

使うのは国土交通省の検索画面1つです。2種類の価格情報の違いと一覧の列の読み方が分かれば、実家の相場から外す事例まで自分で見分けられます。

  • 検索条件の設定手順(地域・価格情報区分・種類・時期)
  • 取引価格情報と成約価格情報の使い分け
  • 一覧の列の読み方と相場から外す事例
  • 事例が少ないときに範囲を広げる手順
  • レインズ・マーケット・インフォメーションとポータルサイトの使い方

検索条件の設定手順(地域・価格情報区分・種類・時期)

国土交通省「不動産情報ライブラリ」の価格情報の検索画面(https://www.reinfolib.mlit.go.jp/realEstatePrices/ )では、4つの条件を上から順に入れると事例の一覧が出ます。

登録は不要で、画面上部に「マニュアル」と「制度と用語」のリンクがあります。画面の項目名は2026年10月時点の表示です。

  1. 地域は「住所から」と「路線・駅名から」の2通りで指定できます。「住所から」では都道府県→市区町村→地区(町名)の順に絞れ、「路線・駅名から」では駅を指定して周辺の事例を出せます。最初は実家の町名で絞っておきましょう。
  2. 価格情報区分は「不動産取引価格情報」と「成約価格情報」の2つで、両方に同時にチェックを入れられます。最初は両方にチェックを入れて構いません。
  3. 種類は宅地(土地/土地と建物)・中古マンション等・農地・林地から選べます。実家が戸建てなら「土地と建物」、マンションなら「中古マンション等」です。画面の注記にあるとおり、成約価格情報が出るのは「土地と建物」と「中古マンション等」の2つに限られます。
  4. 時期は2005年第3四半期から最新の四半期まで、四半期単位で範囲を選べます。まず直近1年で検索し、少なければ広げる進め方がおすすめです。

条件を決めたら「一覧表示」で画面に出すか、「ダウンロード」でCSVファイルとして保存できます。

地図画面でも事例を見られますが、地図で表示できるのは直近5年分です。地図では隣の町名の事例も一度に見えるので、件数が少ないときに役立ちます。

出典: 国土交通省 不動産情報ライブラリ「不動産価格情報の検索・ダウンロード画面」マニュアル/国土交通省 不動産情報ライブラリ「コンテンツ一覧」

取引価格情報と成約価格情報の使い分け

「売ったらいくらになりそうか」に近いのは成約価格情報で、土地の値段を見たいときは取引価格情報を使います。

同じ画面に2種類の価格情報が並びますが、出所と性格が違います。

「不動産取引価格情報」は、国土交通省が登記の情報をもとに取引した当事者へアンケートを送り、その回答をまとめた情報です。数値を丸める以外の補正をしていないため、土地だけの取引や、親族間の売買、隣の土地の買い増しといった事情のある取引も混じります。

「成約価格情報」は、レインズに登録されて仲介で売れた戸建て・マンションの成約を、国土交通省が個別の取引を特定できないよう加工して載せた情報です。レインズ・マーケット・インフォメーションで公表されている情報と出所が同じです。

戸建てなら両方を見ると、土地値と建物込みの両面から確かめられます。

注意点は3つあり、いずれも画面の留意事項に書かれています。

  • 同じ取引が取引価格情報と成約価格情報の両方に重複して出ることがある
  • 最新の四半期はアンケートの回収が終わっておらず、翌期以降に件数が大きく増える
  • 相場から大きく外れた異常な値は、項目単位で非公開にされている

直近1期の件数が少なくても、取引の少ない地域と決めつけずに、期間を広げるか翌期の更新を待ってみてください。

出典: 国土交通省 不動産情報ライブラリ「不動産価格(取引価格・成約価格)情報の検索」

一覧の列の読み方と相場から外す事例

一覧の「取引の事情等」「今後の利用目的」「都市計画」の列を見ると、実家の相場から外す事例を見分けられます。

一覧の列は、実機の並びで次のとおりです。種類/価格情報区分/所在地/地域/最寄駅と徒歩分/取引総額/土地(坪単価・面積・㎡単価・形状)/建物(延床面積・建築年・構造・用途)/今後の利用目的/前面道路(幅員・種類・方位)/都市計画(用途地域)/建蔽率/容積率/取引時期/取引の事情等。

所在地は市区と町名までの表示で、丁目や地番は伏せられています。地域は「住宅地」「商業地」などの区分です。成約価格情報の行は、地域・形状・用途などの列が空欄になりやすいと覚えておきましょう。

集めた事例のうち、次に当てはまるものは実家の相場から外します。

外す条件見る列外す理由
「隣地買い増し」「関係者間」などの記載がある取引の事情等市場で競った価格ではない
事務所・店舗など住宅以外の目的今後の利用目的住宅としての値付けではない
商業・工業系の用途地域(実家が住宅地の場合)都市計画地価の水準が違う
土地面積が実家の半分以下、または2倍以上土地(面積)面積で㎡単価が大きく変わる
建物の用途が共同住宅建物(用途)収益物件としての価格になる

実家が戸建ての場合、一覧に出るのは「取引総額」で、土地の㎡単価は空欄です。そこで、同じ町名の種類「土地」の行(取引価格情報)に出ている㎡単価と並べて、土地値の見当をつけます。総額を土地面積で割って単価にする手順は、事例を実家の条件に合わせて補正する章で扱います。

事例が少ないときに範囲を広げる手順

同じ町名の成約が年に数件以下でも、期間・隣の町名・駅の徒歩圏の順に広げると、条件の近い事例を集めやすくなります。

都市部以外では、同じ町名の戸建ての成約が年に数件以下ということは普通です。

  1. 期間は直近1年→3年→5年の順に広げられます。古い事例は地価が動いている可能性があるので、取引時期の補正とセットで使うと今の水準に近づきます。
  2. 地図画面で、隣接する町名へ広げられます。用途地域と駅からの距離が同じくらいの町名を優先すると、条件の近い事例が残ります。
  3. 「路線・駅名から」で、同じ駅の徒歩圏を検索できます。実家が市境や区境にあるときは、住所からの検索より事例が集まりやすい方法です。
  4. CSVをダウンロードし、表計算ソフトで建築年や土地面積で並べ替えると、実家に近い条件の行を拾いやすくなります。

目的は幅を知ることなので、3〜5件集まれば次に進めます。

経験者の声:町名までの表示でも、築年の近い3件で幅が分かった

「町名までしか出ないので最初は使えないと思ったが、同じ町名で築年の近い3件を見たら幅が分かった。件数が少ない年は、隣の町名まで広げて駅距離が同じくらいの事例で代用した」(母の実家の戸建てを売る前に自分で相場を調べた方)

レインズ・マーケット・インフォメーションとポータルサイトの使い方

レインズ・マーケット・インフォメーションは直近の成約の傾向を見る補助に、ポータルサイトは売り出し中の金額の方向感を見る用途に使えます。

レインズ・マーケット・インフォメーション(RMI)は、東日本不動産流通機構などの指定流通機構が運営する無料・登録不要のサイトです。戸建てとマンションの成約を、価格・面積・築年・成約時期が特定されない幅で表示します。対象は戸建てとマンションで、土地の成約は対象外です。

不動産情報ライブラリの成約価格情報と出所が同じなので、同じ事例を二重に調べる手間は省けます。ライブラリで実家の町名の事例が足りないとき、直近の成約の傾向を見る補助として使えば十分です。

物件ポータルサイト(SUUMO・HOME’Sなど)に出ている金額は、売り出し価格です。値引きを見込んだ高めの金額が混じるので、成約の上限の目安にとどまります。

ただし、公開されている成約は四半期ほど遅れるため、「いま周辺で売り出している金額の方向感」を見る用途には使えます。売り出し価格と相場を分けて見ることだけ、念を押しておきます。

出典: 指定流通機構「不動産取引情報提供サイト(REINS Market Information)」

公示地価・路線価・固定資産税評価額から実家の土地の目安を出す方法

相続した実家には手元にすでにある評価額が2つあり、公示価格との関係が決まっているので土地の水準を計算できます。

成約事例が少ない地域や、集めた事例が実家と条件の違うものばかりのときに、この土地の水準が下支えになります。計算は割り算が2回で済み、築古の実家なら下限の見当までつけられます。

  • 固定資産税評価額と路線価から土地の水準を計算する方法
  • 地価公示・基準地価の標準地と実家を比べる方法
  • 公的評価と成約事例の優先順位
  • 築古の実家で土地値と解体費から下限を出す方法

固定資産税評価額と路線価から土地の水準を計算する方法

固定資産税評価額は0.7で、相続税路線価は0.8で割ると、公示価格の水準が出ます。

成約事例が本命ですが、相続した実家には「手元にすでにある評価額」が2つあります。固定資産税評価額と、相続税路線価です。どちらも税金のための評価額で売値そのものとは違いますが、公示価格との関係が決まっているので、土地の水準を割り出せます。

固定資産税評価額は、市町村が地価公示価格などの7割を目途に評価します(1994年度の評価替えから続く、いわゆる7割評価です)。毎年の納税通知書に同封される課税明細書に、土地と家屋で分けて載っています。相続直後でも郵便で手元に届く、実家固有の評価額です。

相続税路線価は、国税庁が公示価格などを基にした価格の80%で評価します。国税庁の「財産評価基準書」のサイトで無料で閲覧でき、道路ごとに1㎡あたりの金額が千円単位で載っています。固定資産税のほうの路線価は、資産評価システム研究センターの「全国地価マップ」で見られます。

モデルケースで計算します(仮定の数字です)。

手元の評価額計算公示価格の水準
相続税路線価20万円/㎡、地積150㎡20万円×150㎡=3,000万円、3,000万円÷0.83,750万円
土地の固定資産税評価額2,600万円2,600万円÷0.7約3,700万円

2つの計算がほぼ同じ水準に収まれば、公示価格の水準としては3,700万円前後という見当がつきます。これはあくまで「水準」で、実際の成約はこの水準を上回ることも下回ることもあります。

注意したいのは建物のほうです。家屋の固定資産税評価額は、同じ建物を建て直す費用から年数分を減らした金額で、築古では新築時の2割が下限として据え置かれます。つまり、築40年の実家でも家屋の評価額は新築時の2割で残ります。

これは税金の計算上の扱いで、売却のときの建物の価値とは別物です。土地の計算にだけ使いましょう。

経験者の声:納税通知書の評価額を0.7で割ったら査定額に近かった

「相続税の申告で路線価は見ていたが、公示価格の8割水準だとは知らなかった。納税通知書の土地の評価額を0.7で割ったら、査定額とほぼ同じになった」(父の相続で実家の土地の査定を受けた方)

出典: 総務省「地方税制度 固定資産税」/国税庁 金沢国税局「平成27年分の路線価について」/国税庁「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」/資産評価システム研究センター「全国地価マップ」/秋田市「築35年以上の家に固定資産税がかかるのはなぜですか」

地価公示・基準地価の標準地と実家を比べる方法

不動産情報ライブラリの「地価公示・地価調査」で実家に近い標準地を探すと、単価と前年比の変動率に加えて、不動産鑑定士の鑑定評価書まで読めます。

地価公示は、国土交通省の土地鑑定委員会が毎年1月1日時点の価格を3月に公示します。都道府県地価調査(基準地価)は、都道府県が7月1日時点の価格を9月に公表し、半年ずれた時点で地価公示を補います。

地点ごとに、1㎡あたりの価格と前年比の変動率が出ます。さらに、地価公示の標準地については鑑定評価書もダウンロードできます。

鑑定評価書には、不動産鑑定士がその地域の取引事例から出した比準価格や、地価の動向についてのコメントが載っています。一般の人が読める「プロの相場観」の原文なので、実家に近い標準地が見つかったら一度開いてみてください。

ただし、標準地の単価をそのまま実家の地積に掛けると見当が外れます。標準地と実家では、駅からの距離・前面道路の幅・土地の形・広さが違い、それだけで単価が変わるからです。

実勢価格は公示価格の0.9〜1.1倍が目安といわれますが、都市部の人気地では公示を大きく上回り、地方や郊外では下回ることもあります。幅を持って見ておきましょう。この倍率は公的な数字ではなく業界の目安なので、実家の地域がどちらに寄るかは、同じ町名の成約事例の㎡単価と標準地の単価を並べて確かめられます。

出典: 千葉県「地価調査・地価公示」/静岡県「地価調査・地価公示とは」

公的評価と成約事例の優先順位

売る前提で目安を持つなら、成約事例が本命で、公的評価は成約が少ない地域の下支えです。

優先情報役割
1成約事例(不動産情報ライブラリ)本命。実際に売れた価格の幅
2地価公示・基準地価の標準地土地の水準と変動率。時点補正にも使う
3固定資産税評価額・路線価からの計算手元にある下支え。成約が少ない地域で使う

計算した水準と成約事例の単価がズレたら、成約事例を優先します。公的評価が力を発揮するのは、「成約事例が極端に少ない地域」や「集まった事例が実家と条件が違いすぎる」ときです。

不動産会社が使う価格査定マニュアル(住宅地)も、地価公示の標準地や基準地を事例地として参照します。公示を押さえておけば、査定の土地部分を検算できます。

築古の実家で土地値と解体費から下限を出す方法

築古の実家の下限は「土地の水準−解体費」で見当がつきます。

戸建ての取引には、個別の状態にかかわらず築20〜25年で建物の価値をゼロとみなす慣行があります。国土交通省は2014年3月に「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」を公表し、建物を基礎・躯体と内外装・設備に分けて評価し、維持管理の状態を反映させる考え方を示しました。

2015年には不動産流通推進センターがこの考え方を価格査定マニュアルに反映しています。それでも流通の現場では、築古の戸建てを土地値で扱うことが多いのが実情です。

そのため築古の実家は、土地の目安が相場の中心になります。さらに、古い家が建ったまま売る場合、買主は解体費を見込んで値引きを求めます。木造30〜35坪で150〜200万円程度が目安といわれ、重機が入りにくい土地では増えます。この金額は公的な基準ではなく業界の目安で、実額は解体業者に現地を見てもらう見積もりで確かめられます。

つまり、実質の下限は「土地の水準−解体費」です。モデルケースなら、公示水準3,700万円前後から解体費150〜200万円を引いた3,500万円前後が、土地値として見たときの下限の見当になります。

先に解体して売るか、建ったまま売るかの判断は別の話として、ここでは下限を出す計算にとどめます。

出典: 国土交通省 報道発表「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」の策定について/国土交通省 報道発表「既存住宅価格査定マニュアル」の改訂について

見つけた事例を実家の条件に合わせて補正する方法

不動産会社の査定と同じ「取引事例比較法」を、一般の人が粗くなぞる手順です。

集めた事例は、面積や接道、取引時期が違うと単価がばらつきます。実家の条件を1枚のメモにしてから、事例を絞り、単価に直し、幅で持つところまで進めます。

  • 事例を実家と比べる条件の優先順位
  • 戸建ての成約価格を土地面積で単価化する方法
  • 接道・形状・旧耐震が価格を下げる度合い
  • 取引時期と建物の状態による補正
  • 相場の目安を下限・中央・上限の幅で持つ方法

事例を実家と比べる条件の優先順位

同じ町名・用途地域→駅徒歩→土地面積→築年の順に絞ると、残った事例の単価の幅が相場の幅になります。

不動産会社の査定は「取引事例比較法」が基本です。似た事例を集め、駅距離や道路、形などの個別の違いで加点・減点し、取引時期のズレを直して金額を出します。

先に実家の条件を1枚のメモに書き出しておきましょう。地積・延床面積・築年・構造・駅徒歩・前面道路の幅と種類(公道か私道か)・土地の形・用途地域・境界確定の有無です。

固定資産税の課税明細書と登記事項証明書でほとんど埋まり、後で不動産会社に査定を頼むときにもそのまま使えます。

集めた事例をメモと比べるときの優先順位は、次のとおりです。

  1. 同じ町名で、用途地域が同じ事例
  2. 駅徒歩が実家の±5分以内の事例
  3. 土地面積が実家の±30%以内の事例
  4. 築年が実家の±10年以内の事例

上から順に絞り、残った事例の単価の幅が「相場の幅」です。実家が築古なら、建物面積や築年より土地の条件(面積・接道・形状)を優先して比べると実態に近づきます。築古同士の取引は、ほぼ土地の値段で決まるからです。

出典: 国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」(令和8年4月1日施行版・PDF)

戸建ての成約価格を土地面積で単価化する方法

戸建ての事例は「取引総額÷土地面積」で㎡単価にすると、実家の地積を掛けて幅を出せます。

戸建ての事例は取引総額しか出ないので、土地込みの㎡単価にして並べます。建物が古い事例同士なら、この単価はほぼ土地値の比較になります。

モデルケースで並べます(仮定の数字です。実家は地積160㎡、築35年とします)。

事例取引総額土地面積㎡単価扱い
A2,640万円120㎡22万円使う
B3,000万円150㎡20万円使う
C3,420万円180㎡19万円使う
D2,100万円140㎡15万円前面道路が私道2mのため外す

A〜Cの単価19万〜22万円に実家の地積160㎡を掛けると、3,040万〜3,520万円という幅になります。

ここで注意したいのが面積と単価の関係です。土地が広いほど総額が上がって買える人が減るため、㎡単価は下がる傾向があります。表でもA(120㎡)よりC(180㎡)の単価が低くなっています。

実家が200㎡を超えるなら、小さい事例の単価をそのまま掛けると高く出すぎます。同じ町名の種類「土地」の取引価格情報には㎡単価が直接出ているので、戸建てから出した単価と並べて整合を見ておきましょう。両者が近ければ、土地値の見当として信用できます。

経験者の声:広い実家は小さい事例の単価を掛けると高く出すぎた

「土地が広い実家は、小さい事例の坪単価を掛けると高く出すぎた。査定額は半分近くだった」(地積250㎡の実家を相続し、自分で目安を出してから査定を頼んだ方)

接道・形状・旧耐震が価格を下げる度合い

同じ町名でも接道・形状・旧耐震・境界の4つは価格を大きく動かし、一覧の列で見分けられるものと現地でしか分からないものがあります。

条件価格への影響見分け方
接道(幅員4m未満の道路・間口2m未満)再建築不可となり、周辺相場の1〜5割程度の取引水準といわれる一覧の前面道路欄、現地で幅を測る
形状(旗竿地・不整形地)整形地より安い。減額の目安は国税庁の補正率一覧の形状欄、公図
旧耐震(1981年5月31日以前の建築確認)買主が住宅ローンや税の優遇を受けにくく、価格に響く建築年でおおよそ分かる
境界未確定・越境確定測量の費用(数十万円から)や手間が価格から見込まれる現地の境界標、隣の塀や枝の状況

接道について、建築基準法は、建物の敷地が幅員4m以上の道路に2m以上接することを求めています。満たしていない土地は建て替えができない「再建築不可」で、周辺相場の1〜5割程度の取引水準といわれます。

幅が大きいのは、買主が業者か個人か、隣地と一体化できるかで変わるからです。この割合も公的な数字ではなく業界の目安です。一覧の前面道路欄が「私道」「幅員4m未満」の事例は、実家が同じ条件の場合を除いて外します。実家の前面道路が建築基準法上の道路に当たるかは、市区町村の建築指導の窓口で確かめられます。

形状の減額幅は、国税庁の相続税評価で使う補正率(奥行価格補正率・不整形地補正率・間口狭小補正率)が公的な目安になります。市場価格そのものとは別の数字ですが、「不利な形がどの程度の減額になるか」の目安として見られます。

旧耐震の扱いは、マンションも同じです。

経験者の声:単価が倍違う事例は再建築不可だった

「同じ町名で単価が倍違う事例があり混乱した。前面道路が私道2mの再建築不可だった」(実家の近所の事例を不動産情報ライブラリで調べた方)

安すぎる事例を見つけたら、まず前面道路欄を確かめてみてください。

出典: e-Gov法令検索 建築基準法 第42条・第43条/国税庁 財産評価基本通達 付表(奥行価格補正率表・不整形地補正率表・間口狭小補正率表)/建築研究所「新耐震基準」から40年を振り返る(PDF)

取引時期と建物の状態による補正

2年以上前の事例は地価公示の変動率で今の水準に引き直し、建物の状態は現地と手元の記録で補います。

不動産情報ライブラリの地価公示の標準地に出る前年比の変動率を使い、たとえば年+3%が2年続いた地域なら約+6%として古い事例の単価を上げます。下がっている地域なら同じ要領で下げます。

建物の状態は、公開情報には一切出ません。雨漏り・シロアリ・設備の古さ・リフォーム歴は、現地で見るか、手元の記録で確かめることになります。

実家は空き家の期間があると劣化が進んでいることが多いので、自分の目安を「同じ条件の事例の下寄り」に置いておくと、現地で傷みが見つかっても目安が大きく外れずに済みます。

経験者の声:空き家の3年で雨漏りが出て、事例の一番安い水準になった

「空き家にしていた3年で雨漏りが出て、事例の中で一番安い水準になった」(親が施設に入った後の実家を3年空き家にしてから売った方)

相場の目安を下限・中央・上限の幅で持つ方法

補正の結果は1つの金額にまとめず、下限・中央・上限の3つの値で持ちます。

査定額と比べる目安として使うには、1つの金額より幅のほうが判断しやすいからです。

区分出し方モデルケース(地積160㎡)
下限土地の水準−解体費、または最も条件の悪い事例の単価×地積19万円×160㎡=3,040万円
中央条件の近い事例の単価の中央値×地積20万円×160㎡=3,200万円
上限最も条件の良い事例の単価×地積22万円×160㎡=3,520万円

このモデルケースでは、「3,040万〜3,520万円、中央は3,200万円前後」が実家の相場の目安です。空き家期間が長い、境界が未確定といった事情があれば、下限寄りに読みます。この幅が、査定額を判断する目安になります。

自分で出した目安と不動産会社の査定額がズレる原因

査定額と相場は性質が違うのでズレること自体は普通に起こり、見るべきはズレの理由を会社が説明できるかです。

高い方向と低い方向でよくある原因は違い、どちらにも会社側の事情があります。原因を先に知っていれば、査定書を受け取ったときに聞くことが決まり、会社の参考事例を公開情報と突き合わせるところまで自分で進められます。

  • 査定額が相場の幅とズレて当然な理由
  • 自分の目安より査定額が高いときの原因
  • 自分の目安より査定額が低いときの原因
  • 査定額の根拠を確認する質問
  • 査定書の参考事例を公開情報と突き合わせる方法

査定額が相場の幅とズレて当然な理由

査定額は会社の提案、相場は過去の成約の幅で、性質が違うのでズレること自体は普通に起こります。

査定額は「この金額で売り出すのはどうか」という会社の提案で、相場は過去の成約の幅です。会社間で査定額が違う原因は、主に4つです。

  • 営業方針の違い(売主に選ばれるために高めに出す会社と、売れる見込みの高い金額で出す会社がある)
  • 使った成約事例の違い
  • 個別の条件の加点・減点の裁量
  • 時点修正をしたか、していないか

査定書は会社の意見で法的な効力は持たず、不動産鑑定士が作る鑑定評価書とは別物です。

見るべきはズレの大きさより「ズレの理由を会社が説明できるか」です。判断の目安は単純で、補正して出した幅の中に査定額が入っていれば妥当とみなしてよく、幅の外なら理由を聞きます。

出典: 国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」(令和8年4月1日施行版・PDF)

自分の目安より査定額が高いときの原因

高い方向のズレには、よくある原因が4つあります。

  • 売主に選ばれるための高めの提示。高めに預かって後から値下げを促すやり方は「高預かり」と呼ばれます。
  • 値引き代を含んだ売り出し価格の提案。成約の見込み額とは別の数字です。
  • 会社がレインズ本体で直近の高い成約を見ている。公開情報は四半期ほど遅れ、匿名加工もされているので、会社のほうが鮮度と粒度で勝ります。この場合は正当な差です。
  • 売り出し中の物件の価格を根拠にしている。成約の価格に比べると、相場の根拠としては弱い数字です。

高めの提示には会社側の事情もあります。複数の会社が同じ実家の査定を競う場面では、低い金額を出した会社は選ばれにくく、高めの金額を出す圧力がかかります。

会社を責めるより、「この金額で3か月売れなかったときの想定」を聞いてみると、提案の性格が見えてきます。

なお、2025年1月施行の宅地建物取引業法施行規則の改正で、専任媒介物件の「申込みの受付に関する状況」をレインズに登録することが義務になりました。高値で預かったまま非公開にして値下げを待つような扱いは、規制の対象になってきています。

経験者の声:一番高い会社の参考事例は売り出し中の物件だった

「3社で400万円違った。一番高い会社に根拠を聞いたら、参考事例が売り出し中の物件だった」(実家の査定を3社に頼み、根拠を聞き比べた方)

出典: e-Gov法令検索 宅地建物取引業法施行規則 第15条の11/国土交通省 報道発表「レインズの機能強化について、物件の売主向けのリーフレットを作成しました」

自分の目安より査定額が低いときの原因

低い方向のズレは、買取価格の混在・訪問査定での減点・建物の評価方法・早く売りたい事情への配慮のいずれかが多く、理由が具体的なら信頼できる材料です。

  • 買取の価格が混ざっている。会社が自分で買い取る価格は、仲介で売るときの相場の6〜8割程度が目安といわれます。会社が転売までの費用と売れ残りのリスクを負うぶん低くなる仕組みで、仲介の査定と同列に比べると「安い査定」に見えます。この割合は業界の目安なので、同じ会社に仲介の査定額と買取価格の両方を出してもらうと、実家での差が分かります。
  • 訪問査定で減点を見た。遠方の実家は資料だけの机上査定から始まることが多く、現地で建物の状態・接道・越境を見れば下がるのは普通です。
  • 建物の評価方法。価格査定マニュアルの建物評価は、同じ建物を今建てる費用から部位ごとの年数分を引く原価法です。築古では建物がゼロ近くになり、査定額はほぼ土地値になります。
  • 早く売りたい事情を汲んだ。売れる見込みの高い金額で出す方針の会社は、低めに見えます。
経験者の声:低い査定の会社は現地で雨樋の外れと越境を見つけていた

「自分の目安より低かった会社は、現地で雨樋の外れと越境を見つけていた。説明に納得した」(遠方の実家を机上査定と訪問査定の両方で見てもらった方)

出典: 国土交通省 報道発表「既存住宅価格査定マニュアル」の改訂について

査定額の根拠を確認する質問

根拠を聞くことは宅地建物取引業法に裏づけられた通常のやり取りで、会社側も答える前提で査定書を作っています。

宅地建物取引業法34条の2第2項は、業者が価額について意見を述べるときに根拠を明らかにする義務を定めています。聞いてよい質問は次のとおりです。

質問確かめたいこと
参考にした成約事例を3件、町名・築年・面積・成約時期で示してほしい公開情報と突き合わせられる材料か
この金額は売り出し価格の提案か、成約見込み額か値引き代がどれだけ乗っているか
仲介の査定か、買取の価格か比べてよい数字か
訪問して減点した項目は何か自分の目安との差の中身
この金額で3か月売れなかったときの想定は高預かりの提案か、売れる見込みの提案か

売り出し価格と成約見込み額を分けて書いてくれる会社は、信頼しやすい会社です。価格査定マニュアルの売却価格の提案書は、この2段で出せる作りになっています。

出典: e-Gov法令検索 宅地建物取引業法 第34条の2

査定書の参考事例を公開情報と突き合わせる方法

査定書の参考事例を不動産情報ライブラリで同じ町名・種類・四半期で検索すると、会社と同じ材料を見ているかが分かります。

査定書に参考事例(町名・築年・面積・成約時期)が載っていれば、3つの手順で突き合わせられます。

  1. 不動産情報ライブラリで、同じ町名・同じ種類・同じ時期の四半期を指定して検索すると、候補の行が絞られます。
  2. 一覧の中から、面積と建築年が一致する行を探します。見つかれば、会社と同じ材料を見ているということです。あとは加点・減点の内訳を聞けば、差の中身が分かります。
  3. 見つからなければ、レインズ本体にはあるがまだ公開されていない直近の事例か、売り出し中の価格を根拠にしている可能性があります。どちらかを会社に確かめてみてください。

参考事例の記載がない査定書や、町名が違う事例ばかりの査定書は、事例を出してもらってから判断しましょう。机上査定では紙面の都合で事例を省く会社もあり、頼めば出てくることが多いからです。

経験者の声:査定書の参考事例と自分で見つけた事例が同じだった

「不動産会社の査定書の参考事例と、自分で見つけた事例の価格が同じだった。同じ所を見ているのだと分かって安心した」(査定書を受け取ってから不動産情報ライブラリで検索した方)

突き合わせの目的は会社を疑うことではなく、同じ材料で話せる状態を作ることです。

公開情報だけでは分からない実家の相場の限界点

公開情報に載らないものを知っておくと、目安の幅を広めに持ち、現地と手元の資料で補えます。

限界は、載らない取引があること、町名までしか分からないこと、過去の成約しか映さないことの3つです。限界ごとに、それでも分かること・自分で補えること・会社に聞くことを表で分けます。

  • 公開情報に載らない取引の種類
  • 町名までしか分からない位置と建物の状態を補う方法
  • 過去の成約では読めない時点と需給の限界

公開情報に載らない取引の種類

レインズへの登録義務は専任媒介と専属専任媒介に限られるため、一般媒介や直接取引、買取の成約は公開情報に載りにくいです。

レインズへの登録が義務なのは、専任媒介契約(契約から7日以内)と専属専任媒介契約(5日以内)です。一般媒介契約には登録義務がなく、登録された物件でも成約の報告が漏れることがあります。したがって、成約価格情報もレインズ・マーケット・インフォメーションも、載っているのは全成約の一部です。

載らない取引は、一般媒介で売れた取引、売主と買主の直接取引、業者の買取(レインズを通らないことが多く、価格も仲介相場より低い)、相続人の間での譲渡です。取引価格情報もアンケートの回収率に左右され、最新の期は翌期以降に件数が変わります。

「載っていない=取引がない」ではありません。件数が少ない町名では、不動産会社に「直近1年の成約を何件持っているか」を聞くと、公開前の事例まで含めた実態が分かります。

経験者の声:隣の家の売却は一般媒介で公開情報に出なかった

「隣の家が同じ頃に売れたのに公開情報に出てこなかった。一般媒介だったと後で知った」(実家の隣家の売却を参考にしようとした方)

それでも分かること自分で補えること会社に聞くこと
仲介で売れた戸建て・マンションの成約の幅期間と町名を広げ、成約と取引の両方を見る直近1年の成約を何件持っているか、公開前の事例があるか

出典: e-Gov法令検索 宅地建物取引業法 第34条の2/e-Gov法令検索 宅地建物取引業法施行規則 第15条の10

町名までしか分からない位置と建物の状態を補う方法

角地か旗竿地か、建物の中がどうかは公開情報に出ないので、現地と不動産情報ライブラリの都市計画・防災の情報で補います。

所在地は町名までの表示で、丁目や地番は伏せられています。同じ町名でも、角地・旗竿地・私道の差は一覧の形状・前面道路の列でしか分からず、成約価格情報の行はその列も空欄が多いです。

建物の内部の状態、境界の確定、越境、心理的瑕疵、空き家の期間も、公開情報の外にあります。

自分で補えることは多くあります。現地で前面道路の幅を歩いて測る、境界標があるかを見る、枝・塀・配管の越境がないかを見る、隣地が空き家や工場でないかを見る、の4つです。

不動産情報ライブラリの都市計画のレイヤーでは、実家の地点の用途地域・建蔽率・容積率が分かります。建て替えたときにどれくらいの家が建つかは、買主の値付けに直結します。防災のレイヤーでは、洪水や土砂の想定区域を見られます。

経験者の声:前面道路が地図より狭く、目安を下げた

「現地に行ったら前面道路が地図より狭くて車が入れなかった。目安を下げた」(遠方の実家を売る前に一度現地を見に行った方)

それでも分かること自分で補えること会社に聞くこと
用途地域・建蔽率・容積率・防災の想定区域前面道路の幅、境界標、越境、隣地の状況を現地で確認訪問査定でどの項目を減点したか

出典: 国土交通省 報道発表「不動産情報ライブラリ」の運用を開始します

過去の成約では読めない時点と需給の限界

公開情報は四半期ほど遅れた過去の成約で、いま買主がいるかは映らないので、売り出し中の価格と会社への聞き取りで補います。

金利や市況が急に動いている時期は、ポータルサイトの直近の売り出し価格で方向感だけ補います。

需給の例を挙げます。同じ町名で建売業者が土地を集めていれば土地値は上がります。隣地の所有者が買い増しを望めば、相場より高く売れることがあります。

逆に、同じ時期に近所で複数の売り出しが重なれば、相場より下で決まることもあります。どれも公開情報の外で起きる動きです。

なお、不動産鑑定士の鑑定評価(有料で数十万円)は、相続人の間の争いや税務で金額を確定させるための手段で、相場を調べる通常の方法とは別です。費用は一般的な目安で、実額は鑑定士に頼む前の見積もりで確かめられます。

経験者の声:隣の人が買いたいと言ってくれて相場より高く売れた

「隣の人が買いたいと言ってくれて相場より高く売れた。公開情報には絶対に出ない形だった」(実家を売り出す前に隣地の所有者へ先に声をかけた方)

それでも分かること自分で補えること会社に聞くこと
過去の成約の幅と、地価公示の変動率ポータルの直近の売り出し価格で方向感を見る、隣地所有者の意向を確かめるいま同じ町名で売り出し中の物件が何件あるか、買主の問い合わせの動き

まとめ:実家の売却相場は成約事例から幅で出し、査定額をその幅と比べる

実家の売却相場は1つの金額ではなく、不動産情報ライブラリの成約事例から出した「下限・中央・上限」の幅です。不動産会社の査定額がその幅に入っていれば妥当とみなしてよく、幅の外なら理由を聞く、という判断の物差しを自分で持てます。

次の一歩は、不動産情報ライブラリで実家の町名の成約事例を3〜5件集め、取引総額を土地面積で割った㎡単価に実家の地積を掛けて幅を出すことです。ここを飛ばして査定書だけで会社を選ぶと、一番高い金額を出した会社に預けて売れ残りやすく、低い査定の理由を確かめないまま安く手放しやすくなります。

幅ができたら、査定書の参考事例と公開情報の事例が同じものかを突き合わせてみてください。実家と相続の地図帳「つぐーる」では、実家の売却相場の調べ方や査定額の見方も含めて、相続や実家について悩むあなたに経験に基づいた情報を提供しています。