親族以外の人が住む実家を家族の誰も認めていない人が読むガイド

実家に親族ではない人が住んでいるのに、家族の誰も住むことを認めた覚えがなかったり、契約書に名前のある人と実際に住んでいる人が合わなかったりすると、無断で住んでいるのではないかと疑いたくなるでしょう。

実家を相続する前でも相続が始まった後でも、誰が住むことを認めたのか分からないままでは、その人との関係を決められません。

無断で住んでいると決めてしまう前に、危険を避けながら何をどの順番で確かめるのかを説明します。

無断居住の可能性がある第三者居住のケースだと、今後どんな時に状況が変わるのか

契約した人の引っ越しや関係の解消で住んでいる人の違いが表に出たとき、または所有者が亡くなるか住む人が増えて許可の範囲が問題になったときは、誰に何を確かめればよいかが変わります。

  • 契約した人の引っ越しや関係の解消で「住んでいる人の違いが表に出た時」
  • 所有者が亡くなるか住む人が増えて「許可の範囲が問題になった時」

契約した人の引っ越しや関係の解消で「住んでいる人の違いが表に出た時」

契約書に名前のある人がすでに引っ越していたり、貸し借りなどの元の関係が終わっていたりしたと分かった時は、契約した人だけでなく、実際に住んでいる人にも確かめます。たとえば、契約した人が家を出たあとに、その同居人だけが住み続けている形です。

気づいたら、まず手元の契約書と、家族に届いていた手紙やメモを見比べてください。現地へ行く必要はまだありません。契約した人がいつまで住み、別の人がいつから住んでいるらしいのかが並ぶと、住んでいる人が入れ替わった時期に見当が付きます。

所有者が亡くなるか住む人が増えて「許可の範囲が問題になった時」

家を所有していた家族が亡くなった時は、どこまで使ってよいと認めていたのかを、認めた本人からは確かめられなくなります。住む人が増えたらしいと分かった時も、その人まで認めていたのかという新しい疑問が生まれます。

どちらの時も、机の上でできることから進めてください。前から手元にあった契約書やメモを読み直し、新しく聞いた話は別の紙に書いておきます。古い記録と新しい話が別々になっていれば、誰がどこまで認めていたのかを当時の記録の側から確かめ直せます。

【落とし穴】無断居住の可能性がある第三者居住の人で、実際に起こりうるケースを紹介

「家族が知らない人だから無断で住んでいる」と決めたときも、「契約書の名前と住んでいる人が違うから」と考えたときも、家族が手にしている事実はまだ一部です。足りない事実を確かめてから、その先を判断します。

  • 家族が知らない人なので無断居住と決めた
  • 契約者と実居住者が違うので直ちに立入りや鍵交換をした

家族が知らない人なので無断居住と決めた

家族の誰も知らない人が住んでいる以上、無断で住んでいると決めてしまうという落とし穴にハマった例を紹介します。ここに挙げるのは特定の一件ではなく、確かめる前に決めつけて動いた時に起こりうる経過をまとめた例です。

家を所有していた親が亡くなったあと、家族が実家を見に行くと、誰も知らない人たちが暮らしていました。

家族は、自分たちの誰も聞いていないのだから無断で住み着いたのだと考え、玄関先へ出てきた相手に、すぐ出ていくよう強く求めたのです。相手は口を閉ざし、それきり呼びかけに応じなくなりました。

あとになって、親の古い手帳に、生前この人たちへ家を使わせていたと読める書き込みが見つかりました。けれど、どこまで認めていたのかを話せる本人は亡くなっており、住んでいる人も応じてくれないため、確かめようがないままです。

家族が先に決めつけをぶつけたために、誰にも確かめられなくなった例です。この例から学べることをまとめます。

  • 家族が知らないことは、認めた人がいないことの証明にならない
  • 住むことを認めた人が、すでに亡くなっていることがある
  • 決めつけをぶつけると、相手から事情を聞きにくくなる

家族が知らないという事実は、家族に伝わっていなかったことしか意味しません。家を所有していた本人が口頭で認めていた場合も、亡くなった家族が生前に認めていた場合も、紙の契約書があるとは限りません。そのため、外から見ただけでは、無断かどうかは決められないのです。

決められない段階で先に見るのは、近づいても危険がないかどうかです。無断かどうかの判断そのものは、事実がそろった段階で、弁護士などの専門家へ渡しましょう。

契約者と実居住者が違うので直ちに立入りや鍵交換をした

契約書の名前と住んでいる人が違うと分かった時点で、自分たちで鍵を替えてしまうという落とし穴にハマった例を紹介します。ここに挙げるのは特定の一件ではなく、順番を飛ばして家へ手を付けた時に起こりうる経過をまとめた例です。

契約書に名前があったのは高齢の女性で、実際に出入りしていたのは、その同居人と子や孫でした。家族は家を所有していた親から「一時的に来ているだけ」と聞かされていたため、契約書と違う人たちが住んでいる状態は認められないと考えました。

家族は相手の留守の間に鍵を交換し、中の様子を確かめようと家へ入りました。戻ってきた相手との間では、締め出したことへの抗議が先に立ち、誰がどこまで住むことを認めていたのかという話は、できないままです。

実際に住んでいたのが誰と誰なのかも、相手が話してくれなくなったため、手元の資料をそろえ、専門家へ相談しながら確かめ直すことになりました。

家族が自分で鍵を替えたことで、確かめる相手との話し合いが、抗議から始まってしまった例です。この例から学べることをまとめます。

  • 名前と住んでいる人の違いだけでは、無断とは言い切れない
  • 誰がどこまで認めていたのかを、契約した人と住んでいる本人へ確かめる
  • 鍵や立入りは家族だけで判断して動かず、専門家へ相談する

契約書に名前のない人が住んでいても、契約した人の同居人や家族として認められていた可能性はあります。まず確かめる相手は、契約した人住んでいる本人たちです。家族が先に鍵を替えたり中へ入ったりすると、本人たちが口を閉ざし、答えを聞ける相手が減りかねません。

食い違いに気づいたら、まず契約書と、住んでいる人の名前が分かる資料をそろえてください。立入りや鍵の交換、置かれた荷物の扱いをどう進めてよいかは、そろえた事実と一緒に、弁護士などの専門家へ相談して決めてください。

今のうちにできること・やっておくとよいこと

今のうちに進められることは四つあります。

  • 危険を感じる時は近づかず警察の窓口を使う
  • 住んでいる人・契約した人・認めた人・登記上の名義人を分ける
  • 契約・支払・使用範囲・入居者の資料を日付順に並べる
  • 見た事実と聞いた話を別々の欄に書く

危険を感じる時は近づかず警察の窓口を使う

相手が威圧的だと聞いている時、押し入られた形跡や暴力の兆候がある時、身の危険を感じる時は、自分で近づかずに警察へつなぎます。事件や事故にあたる緊急の通報は110番です。緊急ではないものの生活の安全に関わる相談は、最寄りの警察署か、警察相談専用電話の#9110を利用できます。

無断かどうかを決めることよりも、あなたと家族が無事でいることのほうが先です。危険を感じる相手のところへは、家族だけで行かないでください。危険を感じない範囲でだけ、この先へ進んでください。

出典: 警察庁「ご意見、各種相談・情報提供等」

住んでいる人・契約した人・認めた人・登記上の名義人を分ける

この家に関わっている人を、次の四つの立場に分けて確かめます。

  • 実際に住んでいる人
  • 契約書に名前のある人
  • 住むことを認めた人
  • 今の登記上の名義人

同じ人が二つの立場を兼ねていることもあれば、全員が別の人ということもあります。思い込みで一つにまとめず、この一覧に沿って名前を書き出してください。

「実際に住んでいる人」は、複数いると分かった時は一人ずつ書きます。「住むことを認めた人」がすでに亡くなっている場合は、認めた場面を知る家族の話や、当時の手紙・メモが説明をたどる手がかりです。四つの立場を分けて書くと、誰がまだ分かっていないのかを確かめられます。

契約・支払・使用範囲・入居者の資料を日付順に並べる

今手元にある資料を、契約、支払、使用範囲、入居者の四つに分け、日付順に並べます。表の1行は、資料1点を表します。

資料の種類(契約・支払・使用範囲・入居者)関係する人日付確認できること保管場所
契約契約書に名前のある人と家を所有していた人2019年4月1日契約書に名前のある人実家の書類棚
支払家を所有していた人と支払った人2019年4月25日から毎月25日支払を伴うやり取りが続いた時期通帳と手元の写し
使用範囲認めた人と住んでいる人2019年4月1日使ってよいと書かれた部屋と庭親の手帳と手紙
入居者郵便受けの宛名や表札で確認できた人2026年8月10日住んでいる人の名前を確かめる手がかり安全な場所で書いたメモ

四つの資料が全部そろっていなくても、手元にある分から並べられます。足りない資料は、誰に確かめるのかを書いておいてください。現地へ行かなければ手に入らないものや、住んでいる人から受け取る必要があるものは、安全を確かめるまで集めに行きません。

見た事実と聞いた話を別々の欄に書く

安全な場所から確認できたことや、電話や手紙で聞いたことは、見た事実と聞いた話を別々の行に書きます。危険が分からない段階で、記録のために現地へ近づく必要はありません。表の1行は、確認1件を表します。

内容の種類(見た事実・聞いた話)日時相手・手がかり内容危険に関すること次の確認
見た事実2026年8月10日午後郵便受けの宛名で確認できた名前門の外から表札に二人分の姓があると分かった壊れた窓や扉は見えなかった契約書で認めた人と使用範囲を確かめる
聞いた話2026年8月12日午前電話に応対した契約書の名義人同居人が一人いると聞いた現地へは来ないでほしいと言われた連絡方法を弁護士へ相談する

新しく確かめたことは、以前の行を書き換えず、日付とともに次の行へ足します。見た事実聞いた話が別の欄なら、食い違いが出た時に、どちらを確かめ直すのかを選べます。

まとめ:無断居住と決める前に確かめる順番

いちばん重いのは、無断かどうかを決める前に、あなたと家族の安全を確かめることです。

次の一歩として、危険を感じる時は近づかず警察の窓口を使ってください。安全を確かめずに決めつけをぶつけると、あなた自身が危険にさらされ、相手から事情を聞けなくなるおそれがあります。

相手に近づかない範囲でまず手元の資料を一つ選び、そこから分かったことと確かめた日を書いておきましょう。つぐーるでは、親族ではない人が住む実家で誰が住むことを認めたのかを確かめる順番も含めて、実家の将来をこれから考えるあなたに信頼できる情報を提供しています。