親のいない実家に自分の世帯だけが住み、土地か建物が、自分または同居家族と、別居する存命の親族などとの共同名義になっている状態です。
自分または同居家族が名義人で実際に住んでいても、その持分だけで家全体の将来を決められるとは限りません。別居共有者の意向と現在の居住条件を確認します。家の評価と自分の世帯で用意できる資金も確かめれば、住み続けるか、持分取得または家全体の売却を話し合うかを比べられます。
あなたと同居家族のうち登記名義を持つ人を、ここでは「居住世帯側の名義人」と呼びます。
別居共有者がいない家では、確かめる相手が異なります。自分の世帯に名義がない場合、亡くなった人の名義が残る場合、誰の名義か分からない場合も、それぞれ別の確認から始めます。あなたか同居家族と、存命の別居者が共同名義である場合に絞ります。
親のいない実家に自分の世帯だけが住み、住んでいる自分たちと別の誰かとの共同名義のケースだと、今後どんな時に状況が変わるのか
別居共有者が売却を望む時、その共有者が亡くなる時、自分の世帯が転居する時には、今の家を誰が使い、持つかを話し直す必要が出ます。
- 別居共有者が売却を望んだら住み続ける条件を確かめ直す
- 別居共有者が亡くなると話し合う相手が変わる
- 自分の世帯が転居し誰も使わなければ管理・処分が課題になる
別居共有者が売却を望んだ時
別居共有者から現金化の希望が出たら、「売りたい」の対象がその人の持分か家全体かが、最初の確認事項です。
自分の世帯が住み続けたいという希望と、別居共有者が現金化したいという希望は、どちらか一方を聞くだけでは比べられません。自分の世帯が持分取得を望むなら、希望だけで返事をせず、取得額を検討するための評価資料と用意できる資金を示します。
話し合う対象、希望時期、金額の考え方が揃わない場合は、未決事項を整理します。必要な同意範囲や共有者間の交渉は弁護士へ、登記内容や登記手続は司法書士へ相談します。
参照: e-Gov法令検索「民法」
別居共有者が亡くなった時
別居共有者が亡くなった後は、誰がその持分を引き継ぐかの確認が先です。
土地と建物の登記内容を確認し、分かる範囲の親族関係と連絡先を整理します。誰が持分を引き継ぐかは自分で決めず、登記や相続手続は司法書士へ、当事者間の調整は弁護士へ相談します。
自分の世帯の居住希望と費用負担も一覧にし、専門家が示した確認相手へ伝えます。
自分の世帯が転居して誰も使わなくなった時
自分の世帯が転居し、別居共有者も家を使わないなら、空き家の管理・保有・処分を話し合う段階です。
転居日が決まったら、空き家の管理担当と費用分担を共有者間で確かめます。
転居前に予定を知らせ、誰がいつまで管理するか、どの時点で売却を検討するかを話し合います。
【落とし穴】親のいない実家に自分の世帯だけが住み、住んでいる自分たちと別の誰かとの共同名義の人で、実際に起こりうるケースを紹介
実際に住み、持分も持っていることは、家全体を単独で決められることや、将来必ず取得できることを意味しません。
- 居住世帯側の持分が多いので単独で決められると思った
- 費用を払えば別居共有者の持分も取得できると思った
- 別居共有者は家を使わないので意向確認は要らないと思った
居住世帯側の持分が多いので単独で決められると思った
持分の多さから家全体を一人で決められると思い込む例です。
「自分たちの持分の方が多いので、売却や大きな改修もこちらだけで決められると思っていました。」
持分と家全体についての確認を分けます。この例から学べることをまとめます。
- 土地と建物の共有者を確かめる
- 持分を不動産ごとに見る
- 別居共有者の意向を本人へ聞く
持分割合だけで結論を出さず、居住世帯側の名義人の持分についてできることと、家全体について必要な確認を分けます。
たとえば、居住世帯側の持分のほうが多いことを理由に、家全体の売却や大きな修繕を単独で決められると考える場面です。しかし、何をするかによって確認すべき範囲が変わるため、割合だけから必要な同意を断定できません。
必要な同意の範囲を確かめないままでは、売却や修繕の話をどの共有者と進めるかが定まりません。決めたい行為を書き出したうえで、共有物に関する民法の解説を確認します。必要な同意が分からない場合は、共有物の同意範囲を扱う弁護士へ尋ねます。
参照: e-Gov法令検索「民法」
費用を払えば別居共有者の持分も取得できると思った
税や修繕費の支払いから持分取得まで決まると思い込む例です。
「固定資産税と修繕費を払ってきたので、別居する姉の持分も自分へ移ると思っていました。」
支払いと名義移転は別の事実です。この例から学べることをまとめます。
- 支払日と金額を資料から拾う
- 登記上の持分を確認する
- 持分取得は相手の意向も聞く
税や修繕費を負担してきた事実と、登記上の持分は別々に確認します。
費用負担と持分を同じものとして扱うと、持分取得額を話す前提が揃わず、過去の負担をどう扱うかも同時に争点になります。支払実績は、今後の費用分担や精算の要否を専門家へ相談する材料です。
過去の負担は、領収書や明細と対応づけた記録にします。持分取得を望む場合は、その記録と登記内容を分け、評価資料と自分の世帯の資金を添えて専門家へ相談します。
別居共有者は家を使わないので意向確認は要らないと思った
別居していることから確認を省けると思い込む例です。
「姉は別の家に住んでいるので、この実家をどうするかは私たちだけで話せばよいと思っていました。」
住んでいないことと名義がないことは同じではありません。この例から学べることをまとめます。
- 別居共有者の現在の希望を聞く
- 保有・売却・自己利用を分ける
- 回答日を添えて書く
別居共有者の現在の不使用と将来意向は、別の事項です。
今は使う予定がなくても、持分の保有や自己利用を望む人がいます。意向を聞かずに居住継続を前提にすると、自己利用や売却の希望が出たときに、居住時期と資金を同時に話し直すことになります。持分の現金化や家全体の売却を望む場合もあるため、選択肢ごとに希望時期を聞きます。
返答がなければ、同意ではなく「未回答」です。最終連絡日を名義表へ残し、所在や連絡先が不明なら「未確認」として専門家へ伝えます。
今のうちにできること・やっておくとよいこと
共有者、居住条件、費用、選択肢の金額を同じ時点で確かめると、希望だけで家の将来を決めずに済みます。
土地・建物の共有者と持分を確かめる
土地と建物の登記事項証明書を用意し、共有者と持分を別々に書きます。古い権利証や家族の説明と違う場合は、どちらかへ合わせず違う点を書きます。
登記だけで実体上の権利まで判断できない事情があれば、食い違う資料を司法書士や弁護士へ示してください。
別居共有者と居住世帯の希望を別々に聞く
別居共有者には、保有、売却、自己利用、持分の譲渡について現在の希望を聞きます。居住世帯には、住みたい期間と必要な条件を聞きます。
回答は一人ずつ、確認日と一緒に書きます。返答がなければ同意とは扱わず、「未回答」と書いて次に連絡する日を決めます。
居住条件と費用負担を同じ表で比べる
居住の期限、使用場所、費用の金額・支払頻度・負担者を項目ごとに並べます。
| 項目 | 居住世帯の回答 | 別居共有者の回答 | 確認日 |
|---|---|---|---|
| 居住期間 | 5年間を希望 | 3年後に再検討を希望 | 2026年8月15日 |
| 屋根修繕 | 半額を負担できる | 見積後に回答 | 2026年8月15日 |
表の内容は架空の例です。回答が違う項目だけを次の話し合いへ持ち出せます。
持分取得と売却の金額を同じ時点で比べる
持分取得を考える場合は、同じ日付の家の評価、取得したい持分、諸費用、用意できる資金を並べます。売却案も同じ評価時点で比べてください。
価格や税金、融資は個別に変わります。評価の目的と日付をそろえた資料を持って、不動産・法律・税務の専門家へ相談します。
まとめ:別居共有者と確認事項を揃えて生活拠点を選ぶ
自分または同居家族に持分があっても、別居共有者の意向と居住条件を確かめなければ、生活拠点の選択肢は比べられません。持分取得を検討するなら、取得額の資料と自分の世帯の資金も確認します。
最初に、土地と建物の共有者、持分、連絡先を一枚にしてください。ここを飛ばすと、誰のどの持分について話すのかを揃えにくくなります。
その名義表を別居共有者と共有し、意向の確認を始めましょう。つぐーるでは、別居共有者の意向、持分取得額の確かめ方、売却を話す条件も含めて、実家の将来をこれから考えるあなたに信頼できる情報を提供しています。

